即日退職で会社から損害賠償請求なんてあり得る?損害賠償Q&A

即日退職で会社から損害賠償請求なんてあり得る?損害賠償Q&A

会社を辞める時、「明日からでも会社へ行きたくない。」と考える退職希望者は多いのではないでしょうか?退職代行サービスを利用し、即日退職をすると、会社側から損害賠償請求されるのではないか?いう不安に満ちた疑問が浮かび上がります。

そして、実際に損害賠償請求となれば、裁判になってしまうことも可能性としてゼロではありません。しかし、退職代行サービスを利用し、即日退職しただけで、会社側から損害賠償請求を受けることがあるのでしょうか?

この記事では、【退職代行サービスを利用して即日退職したら損害賠償請求される?されない?】を説明していきます。

 

【退職で損害賠償請求されるのはどんな場合?】

19_退職で損害賠償請求されるのはどんな場合
日本の法律では、労働者は「職業選択の自由」が認められています。このことは、裏をかえせば、「退職の自由」も認められていることになります。合わない職場にいつまでもいる必要はないのです。

そのため、退職をしただけで損害賠償請求をされることはまずありません。
これは退職代行サービスを利用したとしても同じですし、勤務期間が短かったり試用期間中であったとしても退職によって損害賠償請求をされる理由とはなりません。

ただし、退職をしただけで損害賠償請求をされることはないにしても、会社の備品を紛失したなど個々の状況や雇用契約などの条件違反など、別の理由によって会社に損害を与えた場合(実際に損失が発生した場合)には会社から損害賠償請求されるケースが稀にあります。

それでは、そのケースの具体例を挙げながら見ていきたいと思います。

 

ケース①会社の備品を器物損壊や紛失させたことによる損害賠償請求

19_会社の備品を器物損壊や紛失させたことによる損害賠償請求 (1)

退職時に返却するべき会社の備品(例えば、会社から貸与されているPCやタブレット、社用車など)を破損や紛失した場合、その修繕にかかる費用や新たに購入する費用などの損害が会社に発生することになります。その費用(損害)は破損や紛失した本人(退職者)に損害賠償請求されることになります。

 

ケース②有期契約期間内の退職で正当なやむを得ない理由が存在しない場合

雇用契約には有期契約と無期契約の2種類があります。
そのうち有期契約は、その決められた契約期間内に勝手に退職することは出来ませんが、やむを得ない事情がある場合は民法628条により退職することが可能です。
しかし、一方の過失によって生じた損害が発生した場合は、相手方に対して損害賠償の責任を負う。とあるので、会社に対して損害を与えていないか確認する必要はあります。

 

ケース➂他の社員に対し、転職の誘いや引き抜きなどをして即日退職。

19_他の社員に対し、転職の誘いや引き抜きなどをして即日退職。
会社の従業員である他の社員を、自分が辞める際に転職に誘ったり、引き抜きなどをして故意に会社に不利益をもたらした場合などは、損害賠償請求される可能性があります。

 

ケース④会社の経費による海外留学や研修を終えた直後の退職。

会社の経費を使用して海外留学や研修を終えた後、短期間のうちに退職してしまった場合には、会社が支払った海外留学の費用や研修費の支払いを求められる可能性があります。
実際に、2年間のアメリカ大学院留学後、約2年半で退職した社員に対して、会社側が損害賠償請求裁判を起こし勝訴した。という、長谷工コーポレーション事件という例もあります。

 

このようにケース①から④までは、会社側から退職することに対して損害賠償請求の裁判を起こされる例です。
しかし、会社側から損害賠償請求をされたことを不当だとして、逆に会社側へ慰謝料請求を行い、認められた判例もありますので、その裁判についてご紹介します。

 

プロシード事件(横浜地裁 平成29年3月30日)

この裁判は、入社9か月の元新入社員が、職場環境に適応できず精神疾患を患い、退職を申し出た翌日から欠勤。
しかしこの元新入社員は退職後2か月余りで他の会社へ転職。このことを受け、前社側は詐病としてこの元新入社員に対し、損害賠償の裁判を起こします。
理由は取引先との間に起きた損害があるというものです。

しかし、裁判の結果は前社側の訴えは棄却され、逆に元新入社員側へ損害賠償金の支払いを命じるものでした。
これは、元新入社員が会社側へ病院からの診断書の提出をしていたことや、退職届を提出し受理されていたこと、損害賠償額が元新入社員の年収の5倍の金額だった、ということを受けてのものです。

このように、会社側から損害賠償請求をされても、従業員に対して支払いを命じるというケースは少ないのです。
また会社側としても、損害賠償請求を起こすための時間や労力を考慮すると、新しい人材の確保や、他業務へ力を注いだ方が賢明である。と判断せざるを得ないでしょう。
さらに会社側が損害賠償請求の裁判を起こすということ自体が注目を集め、様々な意見が飛び交い、損害賠償請求することで企業イメージの低下など会社側にとって大きなダメージを受けないとも限りません。
これらのことを考慮してみても会社側は、むやみに損害賠償請求はできないのが現状です。

そのため、退職代行サービスを利用して即日退職したとしても、正当な理由があり、しっかりとした手順を踏めば会社側に損害を与えずに即日退職が可能なため、退職代行サービスを利用したことによる損害賠償請求はまずないと言えます。

 

【まとめ】

19_即日退職で会社から損害賠償請求なんてあり得る_まとめ即日退職をしたことによる、損害賠償請求はありません。それは退職代行サービスを利用して、即日退職しても同様です。

・会社の備品を器物損壊や紛失しての退職
・有期契約期間内の退職で正当なやむを得ない理由が存在しない場合
・他の従業員に転職の誘いをしたり、引き抜いたりする
・会社の経費で海外留学や研修を終えた直後の退職

上記のような会社側に大きな損害を与えるような行為をした際に、損害賠償請求を起こされることがありますが、可能性としては非常に低いのが現状です。

退職届を提出し、会社側が受理しているのであれば、双方合意の上での退職なので裁判になることはまずありません。
その退職が退職代行サービスを利用したものだとしても、会社側に与える影響は大きくないと考えられるため損害賠償になる可能性は低いと言えます。

 

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